うみへ日記

日本の古典を硏究してゐます。YouTube「神社のお話」といふチヤンネルもよろしくお願ひします。

2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

口語訳 神道五部書 御鎮座次第記 その十一 豊受大神の続き

古い言ひ傳へによると、(天地のはじめに)大海原の中に一つのものが浮かび上がり、この形は葦(あし 今は「よし」といふ。)の芽の形の樣であつた。その中に神が成り出でられた。天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)と申す。別名國常立尊(くにのとこたち…

口語訳 神道五部書 御鎮座次第記 その十 豊受大神

天照坐止由氣皇太神(あまてらしますとゆけのすめおほみかみ)一座度會(わたらひ)郡山田原(やまだがはら)に御鎭座する。 神宮に傳はる古文書によると、昔、水の德がまだ現れてをらず、天地がまだ出來てゐなかつた時、瑞八坂瓊之曲玉(みづのやさかにのま…

口語訳 神道五部書 御鎮座次第記 其の九 荒祭宮

荒祭宮(あらまつりのみや)一座(一柱)天照大日孁貴の荒御魂(あらみたま)である。御神體は鏡である。 伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が、左目を洗はれて生まれられた神を天照荒魂(あまてらすあらみたま)、別名を瀨織津比咩神(せおりつひめのかみ)と申す…

口語訳 神道五部書 御鎭座次第記 其の八 相殿神

相殿神(あひどののかみ 天照大神と共に内宮の正宮にをられる神)二座(柱) 左は天手力男命(あめのたぢからをのみこと)である。元々この神は天磐戸(あめのいはと)を開かれた神である。御神體(ごしんたい)の形は弓である。この御神體は神代に輪王(り…

口語訳神道五部書 御鎭座次苐記 其の七

第十一代垂仁天皇(すいにんてんわう)二十五年三月、八咫鏡は伊勢國の飯野高宮(いひののたかみや)から伊蘇宮(いそのみや)遷られた。倭姬󠄃命(やまとひめのみこと)がお祭りしてをられた。その後、天照大神の敎へに從ひ、(五十鈴川上の)地底の岩盤の上…

口語譯神道五部書 御鎭座次苐記 其の六 神武東征

神武天皇(じんむてんわう)元年十月、天皇は日向より、大和國(今の奈良縣)に向けて出發なされた。 解說 これは神武東征といつて、今の宮崎縣にをられた初代天皇の神武天皇が大和國(今の奈良縣)へと出征せられ、見事に平定せられて、大和に都を遷された…

口語訳 神道五部書 御鎭座次苐記 其の五

天孫瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)は、天照大日孁貴の御子である天忍穗耳尊(あめのおしほみみのみこと)の御子である。瓊瓊杵尊の母は萬幡豐秋津姫命(よろづはたとよあきつひめのみこと)である。つまり天照大日孁貴と止由氣皇太神(別名は天御中主神)とは…

口語譯神道五部書 御鎭座次苐記 其の四

また、眞經津鏡(まふつかがみ)ともいふ。 天照太神が天岩窟(あめのいはや)に入られ、磐戸(いはと)を閉ぢられておかくれになつた。天地四方が眞暗闇(まつくらやみ)となり、晝(ひる)と夜との區別が無くなつてしまつて、何事をするにも松明を燃やさね…

口語譯神道五部書 御鎭座次苐記 其の三

日の神が天位に即かれた時(又は、天の岩戸を出られた時)、天照大日孁貴は止由氣(とゆけ)皇大神と豫め、世には明かされてゐない大切なお約束をされ、長く天下を統治されて以降、 高天原に留まられてゐる神々の御命令により、八百萬の神々を天の高市といふ…

神道辭典の主基の解說について

日本書紀の天武天皇五年九月丙戌(二十一日)の記事に以下の如くある。 丙戌。神官奏テ曰。爲新甞卜國郡也。齋忌齋忌。此云踰旣。則尾張國山田郡。次次。此云須岐。丹波國訶沙郡。並食卜。 謹譯 二十一日。神官が天皇に以下の樣に奏上した。新甞祭のための國…

口語譯 天照坐伊勢二所󠄃皇太神宮御鎭座次苐記 其の二

故に伊弉諾尊󠄄(いざなぎのみこと)と伊弉册尊󠄄(いざなみのみこと)とは、お喜びになられておつしやられた。「われらの子ども等は澤山ゐるけれども、この御子の樣に靈妙な御子はゐなかつた。この地上に長く留めておいてはならぬ。當然早く天にお送りして天…

口語譯 天照坐伊勢二所󠄃皇太神宮御鎭座次苐記 其の一 大日孁貴の御誕生

天照坐皇太神一座 伊勢國度會郡宇治鄕五十鈴河上に鎭座する 神宮に古より傳はる書物によると、伊弉諾尊が「我は地上を統治する優れた子を産まうとおもふ。」とおつしやられた。そこで左手に銅鏡*1をお持ちになつた。天鏡命の造られた三面の寶鏡の一つである。…