口語訳 現代語訳 神道五部書 御鎮座伝記 その二十二

豊受宮御井神社(とようけのみやのみゐじんじや)

右の御井は天二上之命(あめのふたがみのみこと)が琥珀の鉢で丁寧に汲み入れたもので、天より傳はつたものである。七星が羅列して護ること、天の宮の裝ひの樣である。皇太神と瓊瓊杵尊とが天下られた時、天牟羅雲命が(あめのむらくものみこと)御前に立つて天下る時に、瓊瓊杵尊が天牟羅雲命を召されて、いはれた。「我の統治しようとする國の水は未だ飮めたものではない。酷い水である。だから、御祖の天御中主命の許に參上して、この由を傳へて參れ。」と命令された。

 

そこで天牟羅雲命は、天上に登つて、瓊瓊杵尊の御祖の前に行つて瓊瓊杵尊の仰せられたことを子細申し上げた時に、天照皇太神、天御中主神、神魯伎(かむろぎ)、神魯美(かむろみ)尊が仰せられた。「樣々な政事をお敎へしてお下ししたが、水取(もひとり、飮水)の政事を遺してしまつて、天下がまた飢餓に苦しんでゐる樣だ。どの神を天下すべきかと思つて問うてゐたが、丁度勇んで昇つて來たものだ。」と仰つて、高天原の井戸の水を汲んで、大量に器に入れて敎へられた。「この水を持つて天下り、皇太神の神饌に澤山盛つて、はじめに、このつかはした水は天の忍水と言つて、瓊瓊杵尊の治める國の水を柔らげてからたてまつれ。また瓊瓊杵尊と共に天降つた五柱の神、三十二神、他の無數の神たちにもこの水を飮ませよ。」と仰られて、天下らせた。