口語訳 現代語訳 神道五部書 御鎮座伝記 その二十

倭姬命が礒宮(いそのみや)にいらした十一月、新甞祭の夜が更けてそばの者達が退出した後に、神主や物忌たちに仰せられた。「わたしは今夜皇太神と止由氣皇太神の神勅を承けた。以下の樣に託宣された。お前たち、正明の心で聞け。人は天下の神の寶である。精神を傷附けてはならない。神が恩寵を垂れるのは祈りを第一とし、神のご加護は正直による。その本來の心のままであれ。皆に神明の道を得させよ。故に神主は太古の本源を守り、佛法を退け、神を敬ひ、散齋(さんさい)致齋(ちさい)、内淸淨外淸淨の日は、喪を弔つたり、病人を見舞つたり、動物の肉を食べたりしてはならない。刑罰を下してはならない。罪人に罰を下してはならない。音樂をしてはならない。穢れたことを引き受けてはならない。その正しい心を散失しないで、精明の德を盡せ。左の物を右に移してはならない。兵器を用ゐてはならない。鞆の音を聞いてはならない。口から穢れた言葉を發してはならない。目で不淨を見てはならない。長く謹愼の誠に專念し、在るが如しの禮を盡くすがよい、と。その時、大神主の阿波良波命(あはらはのみこと)敕令により筆記した。