口語訳 現代語訳 神道五部書 御鎮座伝記 その十七

神鏡の事

一面は、月よりもたらされた鏡である。圓形である。三光天子(日天子・月天子・明星天子)と五匹の飛龍が守護してゐる。これは天鏡命が鑄造した白銅鏡である。月で造られた三面の内の一つである。止由氣宮でお祭りしてゐる。大田命がいふには、崇神天皇が統治されてゐた御代に、止由氣皇太神が天下られて、天照皇太神と一所に竝んで御鎭座された。その時に、天上から御身に添へて持つて來られた鏡である。神代に、天御中主神が授けられた白銅鏡である。この鏡は國常立尊がお生みになつた天鏡命が月の御殿にて鑄造された鏡である。三才(天地人)三面ある内の一面である。他の二面は、天鏡尊の子の天萬尊が繼承して、次に、沫蕩尊(あはなぎのみこと)が承け、次に伊弉諾伊弉册尊が傳承して、神賀吉詞(かむほぎこと)を奏上して、日の神と月の神とをお生みになつた時に用ゐた眞經津鏡である。天地を開闢した明鏡である。三才(天地人)を表はす寶鏡である。この鏡を受ける者は清淨を徹底し、この鏡を求める者は神の心で當たるべきである。この鏡を見るときは、無相無住の虛空の樣な心持であるべきである。以てこの鏡を神々の御神體とするのである。今一面は荒祭宮の御神體として祀り、また一面は多賀宮の御神體としてお祀りする。以上三面を稱辭を盡してお祭りしたのである。

 

一面は、八百萬の神等が石凝姥神(いしこりどめのかみ)に鑄造させた鏡である。この鏡は伊勢の大神宮で御祭りする鏡である。一名を日像八咫鏡といふ。八咫は古語では八頭である。八頭花崎八葉形である。故に八咫と名づけたのである。圓外に太陽が八つある。

 

一面は、日前宮に御鎭座する。石凝姥神が鑄造した鏡である。初めて鑄造したところ、諸神が意に合はなかつた。紀伊國の日前神である。

 

以上いづれも神代の寶鏡である。