口語訳 神道五部書 御鎭座次第記 其の八 相殿神

相殿神(あひどののかみ 天照大神と共に内宮の正宮にをられる神)二座(柱)

 

左は天手力男命(あめのたぢからをのみこと)である。元々この神は天磐戸(あめのいはと)を開かれた神である。御神體(ごしんたい)の形は弓である。この御神體は神代に輪王(りんわう 又は轉輪王)が造つた。

 

右は萬幡豐秋津姬命(よろづはたとよあきつひめ)である。御神體の形は劍である。この御神體は神代に龍神(りうじん)が造られた。

 

この姬神は止由氣皇太神(外宮の神)の御子である高皇産靈神の娘である。また、天照皇太神(内宮の神)の御子である天忍穗耳尊(あめのおしほみみのみこと)の妃であり、天孫の母である。

 

故に天照皇太神と止由氣皇太神との二柱(ふたはしら)の大御神は、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の御先祖の神と申すのである。故に伊勢の内外兩宮を敬ふことが、禮儀に關する敎への中で最も優先すべきことである。

 

解說

轉輪王(てんりんわう)や龍神は佛敎の神々で、明らかに後の神佛習合の影響がある。

 

轉輪王

インド神話で、正義によって世界を治める理想的帝王。仏教では三十二相・七宝を具備するとされ、天から感得した輪宝(りんぼう)を転がして四州を治める。輪宝の種類により、鉄輪王・銅輪王・銀輪ごんりん王・金輪王の四輪王がいる。転輪聖王。輪王。(大辞林 第三版

 

また、止由氣皇太神が高皇産靈神の祖といふのも、伊勢神道に獨自の考へである。