口語譯神道五部書 御鎭座次苐記 其の四
また、眞經津鏡(まふつかがみ)ともいふ。
天照太神が天岩窟(あめのいはや)に入られ、磐戸(いはと)を閉ぢられておかくれになつた。天地四方が眞暗闇(まつくらやみ)となり、晝(ひる)と夜との區別が無くなつてしまつて、何事をするにも松明を燃やさねばならなくなつた。
八百萬の神々は、愁へ困惑されて、どうしたものかと深くお考へになられた。天御中主(あめのみなかぬし)と高貴高皇神(たかきたかみかみ=高皇産靈神)とは以下の樣に御下命になられた。
「石凝姥神(いしこりどめのかみ)に天香山(あめのかぐやま)の銅を取り、日の形をかたどつた鏡を鑄造させよ。」
その鏡はとても美しく、今伊勢神宮(内宮)で祭つてゐる御神體がこの鏡である。